満期単胎骨盤位の一律帝王切開に関する倫理的考察

久保田祥子
First Published: July 19, 2022

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Abstract

現在の日本では、正期産の単胎骨盤位(さかご)の分娩様式の多くは選択的(計画的)帝王切開であり、しばしば施設方針として一律的に決められている。ただガイドライン上は、母児の適応などいくつかの条件のもとでなら経膣分娩の選択肢は残されており、実際に骨盤位経膣分娩を実践する施設はある。本稿では、医学的に絶対的な適応ではない骨盤位帝王切開分娩を多くの施設が方針として一律に決めている現状の背景を整理し、骨盤位帝王切開のインフォームド・コンセントのあり方と、その際に医療者が考慮すべき女性の権利について考察した。社会的な背景として骨盤位の分娩介助技術が継承されなくなりつつあるということと、現状の周産期医療提供体制の課題があると考えられた。医療者は、骨盤位経膣分娩の選択肢が示せないとしても、女性の同意のために社会的な状況も含めた説明が必要であり、同時に女性の選好の背景にあるものを考慮する必要がある。

 

Key words

骨盤位、帝王切開、自然分娩、インフォームド・コンセント