医学研究評価が直面する構造的な諸問題: 医学研究者を対象としたWEBアンケート調査
島田裕平, 箕浦明, 桑原恵介, 近藤誠, 福島紘子, 杉山雄大
Volume 8 Issue 2 Pages 1-31
First Published: March 31, 2026
Abstract
医学研究評価では、インパクトファクターなど指標への偏重が問題視されてきた。こうした非自律的な研究評価慣行が採用され続ける原因を明らかにするため、医学研究者が自律的な研究評価を行う上で直面する課題を分析する。
先行研究を価値・手段・公正の三つに大別して整理した上で、医学研究者を対象としたアンケート調査の自由回答記述を用いて実証を試みた。98件の回答が対象となった。
既存の評価慣行が教育や臨床など特定の価値を反映しないと指摘される中で、定量的評価は次善の手段として位置づけられていた。また、評価者の主観や認知的限界に起因する不公正な評価にリスクを感じていた。
医学研究者は、評価の前提となる価値体系を変えずに定性的評価へ移行した場合、一層不公正な評価を受ける恐れを感じる中で、定量的評価を諦観的に受容していると考えられる。指標への偏重は、手段自体よりも価値や公正の問題として捉え直すことができる。
以上の構造的問題を前提にすれば、医学研究評価は継続的なガバナンスを通じて不断に再考される必要がある。
Key words
研究評価、研究公正、インパクトファクター、ガバナンス

