糖尿病性腎症重症化予防プログラムにおける都道府県間の倫理的配慮の比較

林航平
First Published: July 6, 2022

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Abstract

糖尿病患者には、医療従事者の指示に従順でなかった場合にスティグマを負わされる側面や、診断時の糖尿病管理についてのコミュニケーションより苦痛やセルフケア行動の度合いが変化するという側面があることが指摘されている。糖尿病患者の受診率向上により重症化を予防することを目的とした糖尿病性腎症重症化予防プログラムにおいて、「受診勧奨時に必要な倫理的配慮についてどのように指示されているか」、「フォーマットとして提示されている同意書にはどのような項目が含まれているか」、「受診勧奨時に患者に示されているリーフレット等にはどのような記載がみられるか」の三項目について倫理的な立場から評価した。厚労省の改定に伴い受診勧奨時の倫理的配慮について追加の記載がみられた都道府県もあったが、改定が行われているにもかかわらず倫理的配慮については追加されていない都道府県もあった。同意書のフォーマットには、一部の都道府県で「かかりつけ医の指示に従うこと」という項目が記載されており、これにはスティグマ・自律などの点から懸念があることが明らかになった。リーフレット等には、具体的な行動計画やケアによる予防効果について明記されているものがある一方で、重篤な合併症のみを強調しているだけでセルフケア行動を低下させる懸念のあるものもあった。それぞれの都道府県の制定している糖尿病性腎症予防プログラムには、糖尿病患者のスティグマやセルフケア行動低下につながりうる記載があることが明らかになった。

 

Key words

糖尿病、受診勧奨、倫理的配慮、スティグマ